ゆあさぶっさんかん
【日本遺産050】
国登録有形文化財(建造物)
鎌倉市景観重要建築物等
1897(明治30)年から
この地で貝細工の製造加工・ 卸売店を営んでいた
湯浅新三郎が、1936(昭和11)年に
新築したものです。
創業時の建物は関東大震災で焼失し
1925(大正14)年に新築されていましたが
それをさらに建て直したものです。
間口6間、奥行11.5間の
二階建ての大規模な建物で
若宮大路沿いの戦前の創建になる
商店建築としては最大の規模のものです。
また、規模だけではなくデザインの質も高く
鎌倉の看板建築(※1)を代表する存在です。
ファサードは全面がスクラッチタイル張り。
2階部分には半円形の欄間を備えた
6連の上げ下げ窓が並び、
背後にある和風の建物の存在を
少しもうかがわせない
ほぼ完全な洋風のデザインとなっています。
店主の新三郎は
進取の気性に富む人であったと
いわれています。
湯浅物産館の新築にあたっても
“火災に負けない頑丈な建物を”と
大工を横浜に連れていき
現地の貿易商社の建物を見学して参考にした
という話が伝えられています。
施工は、若宮大路にある
戦前創建の建物のもう一つの代表格である
三河屋本店を手がけた
大工・金子卯之助が担当しました。
湯浅物産館と三河屋本店は
デザイン的に全く異なることから
ともに施主の意向が強く反映していることが
わかります。
現在は、カフェや着物スタジオなどの
5つの店舗が営業しています。
※1 木造の建物の正面を耐火素材で覆い、洋風の装飾を施した建物