美人画の大家である鏑木清方は、江戸から明治、大正、昭和時代初期の着物姿の女性を数多く描きました。季節を先取りした色合いや、重ね着の色の組み合わせ、伝統の文様など、洗練された着こなしは清方作品の見どころのひとつとなっています。
幼い頃から、日常そしてハレの日の装いまで、日々、女性の着物姿を見てきた清方。着こなしの美しさのみならず、帯を締めた後ろ姿、日本髪特有の額や襟足、うなじなど、和装ならではの美は、彼の心を捉え続けました。清方が作品に描いた着物の美は、時代を超え、着物が縁遠くなってしまった現代の私たちに新鮮な感動を伝えてくれます。
本展覧会では、清方が愛した着物の美を、意匠を手がけた着物と着物姿の女性を描いた作品や挿絵でご紹介します。