はくじつどう
【日本遺産048】
鎌倉市景観重要建築物等
寸松堂とならぶ鎌倉彫の老舗です。
寸松堂と同じ西井喜一・正二親子の設計・施工で
1940(昭和15)年に建てられました。
外観は城郭建築風と寺院建築風を加味した
重厚なデザインとなっており
これら伝統的なデザインに鉄平石(※1)張りの
腰壁をもつショーウィンドーという
近代的な要素が合体し
独特の雰囲気を醸し出しています。
江ノ電の長谷駅と
鎌倉大仏が鎮座する高徳院を結び
年間を通じて多くの観光客が行き交う
県道32号線(藤沢鎌倉線)において
ひときわ目を引く存在です。
戦前の鎌倉彫の工房兼住宅を代表する
貴重な建築物であり
創建後の改造が少ない点としても重要です。
創業者の伊志良不説は
戦前は主に茶道具を製作し
戦後は若い弟子たちの育成や
工房・店の経営に努めました。
そうした折、横須賀に進駐した将兵が
鎌倉を訪れた際に鎌倉彫を購入するようになり
中にはテーブルを注文する者もいたといいます。
現在は、女性店主が彫る
オーダーメイドのブローチ等が
人気を博しています。
※1 長野県の諏訪地方・佐久地方に広く分布する輝石安山岩の板状節理がよく発達したもの