暦は中国から朝鮮半島を通り日本に伝わり、大和朝廷により604年、日本最初の暦が作られたといわれています。
当時の暦は「太陰太陽暦」と呼ばれ、朝廷が制定し大化の改新で定められた律令制で、陰陽寮が暦の作成、天文、占いなどの任務にあたっていました。
太陰太陽暦は、1か月を月の満ち欠けの周期にあわせ、大の月(30日の月)と小の月(29日の月)をつくり調整していました。ただ季節は地球が太陽を回る周期で移り変わり、しだいに暦と季節が合わなくなり、2・3年に1度「閏月」を設け13か月ある年を作り、暦と季節を調整していました。
江戸時代には天文学の知識が高まり、暦と天の動きが合わないことが問題となり1685年、はじめて日本人による暦法が作られ、改められました。この「貞享の改暦」以降、1755年「宝暦の改暦」、1798年「寛政の改暦」、1844年「天保の改暦」と4回の改暦が行われました。1868年明治維新により樹立された明治政府は、西洋の制度を導入し、暦についても欧米と統一を図り、1873年から現在使われている「太陽暦」が採用されました。この明治改暦は、公布から約1か月の明治5年12月5日を明治6年1月1日とし、準備期間が短く、世間は混乱したそうです。
暦には通常、月、日、曜日、休日などが記されていますが、ほかに昔の暦で使われていた言葉などがあります。
現在採用されている「太陽暦」の前に使われていた「天保暦」をもとにした暦のこととされ、旧暦にあわせて祭などが行われることがあるため、今の暦に表記されることがあります。
暦に記される日時、方位の吉凶やその日の運勢等、非科学的、迷信的な事項を「暦注」といいます。干支・六曜・二十四節季・雑節などが現在でも使われています。
干支:十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)と十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)を組み合わせた60を周期とする数を表すもので、暦や時間、方位などに用いられる。
六曜:先勝・友引・先負・先勝・仏滅・大安・赤口の六種で、一般のカレンダーなどにもよく記されている。
上記の順番で繰り返されるが、旧暦の毎月1日の六曜が決まっているため、現在の暦ではこの順番が途中から始まる時がある。
一般的な意味は・・・
先勝: 午前中は吉、午後は凶といわれている。
友引: 凶事に友を引くの意味で、朝は吉、昼は凶、夕は大吉といわれている。
先負: 先ずれば即ち負けるの意味で、午前中は凶、午後は吉とされている。
仏滅: 仏も滅するような大凶日の意味で、六曜の中で最も凶の日とされている。
大安: 大いに安しの意味で六曜の中で最も吉の日とされている。
赤口: 正午前後は吉、それ以外は凶の日とされている。
1年の太陽の動きを24等分し、節分を基準に四季をそれぞれ6つに分けたもので、季節を表すために用いられたものです。旧暦は月の満ち欠けに基づいたもので、太陽の位置と無関係のため季節のずれが生じ、本来の季節を知る目安に使われています。ただ、中国から伝わるものなので日本の気候とは若干ずれもみられますが、農業には便利なところがあり、日本でも普及したものです。
立春(りっしゅん): 1年の始めとされ、季節の節目の起点になります。春のはじまりで、梅の花が咲き始め、徐々に暖かくなるころ。(2月4日頃)
雨水(うすい): 雪から雨に変わり、氷が解けて水になるころ。三寒四温繰り返し春に向かっていきます。この日に雛人形を飾ると良縁に恵まれるとのいわれもあります。(2月19日頃)
啓蟄(けいちつ): 大地が暖まり、冬眠していた虫たちが春を感じ、穴から出てくるころ。一雨ごとに暖かくなっていきます。(3月6日頃)
春分(しゅんぶん): 昼と夜の長さが同じ日で、寒さもすっかり和らぐころ。(3月21日頃)
清明(せいめい): 桜が咲き誇り、すべてが若返りすがすがしいころ。(4月5日頃)
穀雨(こくう): 春の雨で穀物などが育つころ。日差しもだんだんと強くなってきます。(4月20日頃)
立夏(りっか): 夏の気配が感じられ、初夏の日差しがまぶしころ。このころから蛙が鳴きはじめます。(5月6日頃)
小満(しょうまん): 陽気が良く、すべてが成長し、山や野原が翠に満ち溢れるころ。田植えの準備もこの頃にはじまります。(5月21日頃)
芒種(ぼうしゅ): 梅の実が黄色くなり、入梅のころ。田植えも盛んになってきます。(6月5日頃)
夏至(げし): 太陽が高く、本格的な夏がはじまるころ。一年で最も昼間が長く夜が短い日です。(6月21日頃)
小暑(しょうしょ): 梅雨の終わりごろで、次第に暑さが厳しくなるころ。蝉の声が聞こえだします。(7月7日頃)
大暑(たいしょ): 気温はぐんぐん上がり、一年で最も暑いころ。厳しい暑さで夏本番です。(7月23日頃)
立秋(りっしゅう): 暦の上では秋、しかし残暑はまだまだ厳しいころ。「暑中見舞い」から「残暑見舞い」に変わる日です。(8月7日頃)
処暑(しょしょ): 厳しい暑さが和らぐころ。台風の時期でもあります。(8月23日頃)
白露(はくろ): 秋の気配に草木の葉先に朝露が降りるころ。日中は暑くても朝晩には涼しさを感じられる日も。(9月8日頃)
秋分(しゅうぶん): 春分と同じく昼と夜の長さが同じで、暑さもおさまり実りの秋を迎えるころ。いわし雲が良く見られる時期です。(9月23日頃)
寒露(かんろ): 秋も深まりはじめ、農作物の収穫も行われるころ。空気も澄み、夜には月も美しく見える時期です。(10月8日頃)
霜降(そうこう): 露が霜となって降りはじめるころ。寒い北風が「木枯らし」と呼ばれるようになります。(10月23日頃)
立冬(りっとう): 朝夕は冷え込み、日差しも弱まり冬のはじまりのころ。(11月8日頃)
小雪(しょうせつ): 高い山に初雪が降り、朝息が白くなるころ。(11月23日頃)
大雪(たいせつ): 平地でも霜や雪が降り、冬景色となるころ。(12月7日頃)
冬至(とうじ): 一年で最も昼が短く夜が長い日です。柚子湯に入る習慣もあります。(12月22日頃)
小寒(しょうかん): 寒さが厳しくなり、冬本番を迎えるころ。寒稽古や寒中水泳が行われる時期です。(1月5日頃)
大寒(だいかん): 寒さが一段と厳しく、一年で最も寒いころ。(1月20日頃)