鎌倉の海~その多彩な顔~
鎌倉の海は、美しい弧を描いています。東は逗子の海辺から史跡和賀江島、材木座海岸、由比ガ浜を経て西に坂ノ下海岸、その先に稲村ガ崎の突端まで、その海岸線(およそ3.2キロ)は見事な半円を描いて相模湾に接しています。その円弧が格別です。訪れる人は赤子を抱く母の胸のような、そのやさしさにいつしか抱擁され、渚の散策に、マリンレジャーに、海水浴にと思い思いの時を過ごします。
群生するハマヒルガオ
鎌倉の海には、もうひとつの顔があります。稲村ガ崎から東、七里ガ浜から腰越海岸に向かうほぼ直線状の砂浜(およそ2.8キロ)です。この一帯にはハマヒルガオ(浜昼顔)の群生する砂地もあって、毎年5月から6月にかけて、薄ピンクの可憐な花を咲かせます。
鎌倉はマリンレジャーのメッカでもある
稲村ガ崎を中心にして東西二つに分かれたこの鎌倉の海岸は、夏は海水浴場の海の家が建ち並び百万人を越える人出で賑わい、また、ほどよい磯波を求めてやってくるサーファーの群で一年中活気を呈します。とくに夏の花火大会は名物です。鎌倉市観光協会主催、およそ百発の水中花火は絶品です。
海では漁もさかん
この海はまた、鎌倉ワカメ、釜揚げのシラス、地ダコ、イセエビ、その他近海ものの魚の産地です。浜の一角を占める漁師小屋や漁船、獲れた魚介をその場で売る朝市、折々行なわれる地引き網など、いかにもこの地ならではの景物となって、大勢の市民や来訪客から親しまれています。
この海浜ベルトの一帯は、内陸部が手狭な鎌倉にとって未来に拡がる可能性を秘めたポテンシャルゾーンです。海岸沿いに走る国道134号線の渋滞解消をめざし、同時にこの海浜ベルトエリアのゾーン活性化を図って、今さまざまなアイディアが官民合同で練られています。
鎌倉の歴史は海から始まっています。「往古鎌倉時代、将軍実朝もこの海から宋への渡来を試みました」21世紀をのぞむ鎌倉の創造のエネルギーは、海にその源を求めています。